【背景】
一人称:僕
親は誰かわからない。生後5日程度だったところを人に拾われたが、大きくなるにつれて「かわいくない」と言われ成猫になる前に捨てられる。実際飼われていたのは6〜8か月ほど。捨てられる時にお湯をかけられ顔に大きな火傷を負う。
そして死にかけていたところを妖魔になった猫が人を襲わないように管理するヤクザ、根子衆怪に所属する二ノ藤 苗に拾われた。
名字はその時に自分で付けた。
──記憶に残る『人間』は、痛い事ばかりだ。
だけど同時に、その手の温もりも、与えてくれた布の優しさも、確かに僕の忘れられないところに残っている。
最初から敵だったなら、近づくこともしなかったのに。
どうして人は、優しいフリをするのだろう。